投資より貯金?お金の使い方の適切な割合を解説

MONEY
下記の記事で、使うお金は「消費」「投資」「貯金」の3種類に分けられるという話をしました。
生活するうえで大切なのは、「消費」「投資」「貯金」をどういう割合にするか、そして投資と貯金はどっちを優先すべきなのか?ということかと思います。
今回は、一般的に推奨されている話をベースに、自分に適した割合と投資・貯金の優先順位について解説します。

消費・投資・貯金の適切割合は50/30/20の予算ルール

一般的に勧められているのは、アメリカのエリザベス・ウォーレン上院議員が提唱した50/30/20の予算ルールに則った配分割合です。

50%は必要経費

必要経費というのは、生活に必要な支出を指します。家賃や住宅ローンの支払い、車の支払い、食料品、日用品、保険や医療費、最低限の債務返済、公共料金などです。

30%は欲しいもの

生活に必要ではないものの、人生を楽しむために使うお金です。いわゆる娯楽費ですね。休暇や旅行、ゲームや漫画、高速のインターネットなど。人によってさまざまでしょう。

20%は貯金と投資

残る20%は貯金と投資に振り分けます。このルールでは、緊急用の貯金を3ヶ月分用意した後は、他の長期的な金融目標に向けて貯蓄を始めることを勧めています。
ちなみに20%ずつの貯金だと、収入の3カ月分貯金するのに15カ月かかります。

50/30/20の予算ルールのメリット・デメリット

メリット

  • シンプルでわかりやすいこと
  • バランスが良く万人におすすめしやすいこと
  • 80%を消費に充て、20%を投資と貯金に充てるため、無理なく続けやすいこと

デメリット

  • 資産の蓄積ペースが遅くなりやすいこと
この配分を続けていると、収入の増加に伴って生活水準はどんどん上がっていくのですが、投資・貯金に回せる金額はさほど増えないんですよね。
例えば手取り25万円の人は消費に20万円、投資・貯金に5万円を充てることになります(現行のつみたてNISAとiDeCoで満額埋まってしまいますね)
この人の手取りが30万円にアップした場合、消費に充てられる金額は24万円に増加。一方で、投資・貯金の金額は6万円。1万円しかアップしません。
最初に配分割合を考える時のベースとする分にはよいのですが、収入の額にかかわらず、投資・貯金に回す額を20%維持し続けるのはあまりよいとはいえません。
手取り25万円時代に20万円の消費額で十分楽しく生活できていたなら、手取り30万円になったとしても、20万円の消費額で生活するのが資産運用や資産形成的にはベストです。

おすすめな消費と投資・貯金の割合は、必要最低限+α:残りの額

個人的におすすめするのは、消費と投資・貯金の割合を必要最低限+α:残りの額」とすることです。
これはつまり、生活に必要な最低限の金額にα分余裕を持たせた金額を消費額とし、それ以外を投資・貯金に回すということです。
αの金額は人それぞれですが、生活に必要な最低限の金額の1/3~1/2程度が目安かなと思います。
そして大切なことは、収入が増えても消費の額を増やさないことです。イギリスの学者シリル・ノースコート・パーキンソンが「パーキンソンの法則」で提唱する通り、支出は簡単に収入の額まで膨張します。
消費予算をこれだけ、と決めたらきちんと守っていくことが大切です。そしてそれを守るためには、生活を楽しくするためのαが大切です。
少しずつ予算を調整しながら、自分にちょうど良い割合を探してみてください。

投資と貯金の適切な割合

そもそも投資と貯金の違いとは

貯金は、あくまでも金銭を貯めておくことそれは緊急時にすぐ引き出せるようにしておくためであったり、明確な消費目的のためであったりします。
明確な消費目的があるお金とは、例えば結婚資金や子供の教育資金です。
教育資金を貯める目的でよく使われる学資保険は、契約段階で受取額を確定する、「確実にお金を受け取るための金融商品」であるため、貯金と見てよいでしょう。
一方で、投資はリスクを取って資産を増やすことを目的としたものです。たいていの投資商品は値動きがありますから、使いたいタイミングで使えるとは限りません。また、引き出すのにルールがあったり、一定の期間が必要だったりするものも多いです。
なので、基本的には投資より貯金が優先です。必要なだけまず貯金を確保、そしてそのあとは投資に振り向けるということですね。

適切な貯金額とは?一般的には月収の3カ月~1年分を推奨

緊急時に使うためのお金として、比較的収入が安定している会社員の方は3~6カ月分程度の貯金が推奨されます。収入が安定しづらいフリーランスや自営業の方は6カ月~1年分程度の貯金があるのが望ましいと言われています。
これはあくまでもいざというときに生活を続けていくための資金という位置づけなので、明確な消費目的のある貯金は別枠です。

養う家族がいる方は多めを推奨。融通が利く方は少なくてもOK

例えば一家の大黒柱として養う家族がいる方は、必然的に生活コストも大きくなりやすく、かつ下げにくいですから、多めに貯金しておいたほうが安心です。
一方で、融通の利きやすい生活をされている方は少なくても問題ないでしょう。例えば急に職を失ったとしても、アルバイトなどでひとまず食つなぐことができるのであれば、生活を続けながら、元の生活に戻していく動きができます。
また、大きく資金を使う予定がしばらくない方も、貯金は少なくてもよいでしょう。貯金は緊急時の生活資金というだけでなく、予定外の出費にも充てるものです。予定外とはいえ、ある程度予測できる部分も多いですから、貯金を多めに確保しなくても問題なさそうであれば、投資に回してしまうのもおすすめです。
ここまで書いておいて何ですが、私はほぼ貯金せずに投資しており、貯金は手取り1か月分程度です。いざというときには値下がりも許容して投資信託を解約しようと思っています。そのリスクを許容してでも金融商品を買いたいだけですね。でもさすがに貯金全額を投資する勇気はございません……。

まとめ

  • 消費と投資・貯金の割合は「必要最低限+α:残りの額」とするのがおすすめ
    αの金額は人それぞれですが、生活に必要な最低限の金額の1/3~1/2程度が目安
  • 投資と貯金の割合は、収入が安定している方は3~6カ月分程度、収入が安定しづらい方は6カ月~1年分程度
    生活コストも大きくなりやすく、かつ下げにくい方は多め、融通の利きやすい方や大きな資金を使う見込みがしばらくない方は少なめでOK
  • 貯金は1か月分で投資をぶん回すのもまた一興
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